熊川哲也のバレエ(なぜかピーターラビット)を観てきました

ピーターラビットの着ぐるみで踊るバレエを見たい」と妻が言うので、「そんな間抜けなもんが本当にあるのか?」と一応調べてみたら本当にあった。

しかも、「子供向けの色モノ舞台だろう」と思っていたら熊川哲也のバレエ団の公演で、しかも“英国ロイヤルバレエ団の人気演目”だという。
で、HPの写真を見ると、本当に絵本のまんまのピーターラビット等の着ぐるみを着たダンサーが踊っている。


演目がピーターラビットだけだとさすがに行く気がしないのだが、ピーターラビット熊川哲也が普通に踊る演目(放蕩息子)がセットになっていたので、観に行くことにした。


観客は、うすうす予想はしていたものの、80%くらいが「30代中盤から40代中盤の女性」。やっぱり、文化的なものを好み、高いチケットを買え、しかも男性に熱を上げるだけの色気もまだ残っている、という微妙なバランスの層ってのはこのあたりだよなあ。



・・で、舞台は熊川哲也の「放蕩息子」からスタート。
実はバレエは初鑑賞だ。
演目にもよるのだろうが、派手な演出というよりも細かい身のこなしの美しさを楽しむ芸術のようで、静かな印象。

で、ざっくり筋を言うと、
「放蕩息子が親に反発して家を出る⇒美人局にあって、身ぐるみはがされる⇒ぼろぼろになって帰還した息子を家族が優しく受け入れる」
というもの。


ポイントは、「熊川哲也が身ぐるみはがされる」というところ。
熊川哲也がブリーフ一枚になって苦しげに舞う姿に、周囲のお姉さま方は釘づけ。
もうオペラグラスで必至に見ている感じ。

これは言うなれば「半裸で汗まみれになって歌って踊る美少年を見て熱狂する」ジャニーズファンのやや高尚なバージョンといったところか。
まあ、でももともとこの手の芸術ってのはそういうものを楽しむもんだよな。
金持ちがお気に入りの芸術家のタニマチになるってのが芸術を育てる源であるわけで、現代であっても、美しい肉体をもったダンサーを金持ちのマダムが支えるってのはある意味正しいのかもしれない。


で、お姉さま方は終わった瞬間に、「Bravo!」と何度も絶叫。


その前列に座っていた中学生くらいの女の子があまりの熱狂ぶりに引きまくっていたのが面白かった。
そりゃ、着飾ったお姉さんがすぐ後ろで大声で絶叫し始めたらビビるよなあ。
突然「Bravo!」って言われても何言ってるのかわからないかもしれないし。


で、お姉さま方は熊川哲也の部が終わるとさっさと退席。
見事な割り切りですな。



で、ピーターラビット

これも高尚に仕上げられている。
美しいといえば美しいのだが、今一つ楽しみどころがわからず。

この着ぐるみで大真面目にトップバレエダンサーが踊っている図というのが相当違和感があってナイスではある。



結論。
僕個人としてはバレエより演劇の方が面白いと思う。
やっぱりセリフとストーリーを楽しむ方が好きだ。