ケースインタビュー必勝法

最近、周囲でコンサルタント志望の若手が何人かいて、久々にケースインタビュー対策を伝授してみた。


ケースインタビューというのも最近は大分有名になったが、コンサル会社の入社面接で出される特徴的な問題のことだ。

「日本にガソリンスタンドは何件あるか?」
「缶コーヒーの売上を倍にするためにはどうしたら良いか?」
といった即答しがたい質問に対し、その場でロジックを構築し、答えを出さねばならないという形式の面接である。
これにきちんと答えられるかどうかで応募者の“地頭の良さ”を見極めるというわけだ。


最近ではいろいろと本も出ているし、転職屋でも対策を教えてくれるが、うまく対応するにはやはりコツと練習が必要だ。


僕は自慢ではないが、この手のインタビューを何十回受けたか分からないくらい受けた経験があり、それなりのテクニックを身に付けている。
(新卒時のスプリングジョブ・本試験に始まり、事業会社等からコンサルへの転職も3回している。多分、僕よりコンサル会社の面接を多く受けている人はあまりいないだろう)
いろいろとテクニックはあるのだが、主に効くのは以下の方法だ。


ケースインタビューで出題される問題は大別すると2種類。
1)数量問題
2)戦略問題
それぞれについて、必勝法がある。




1)数量問題の必勝法


【出題例】
・日本にガソリンスタンドは何件あるか?
・日本の殺虫スプレーの市場規模は何億円か?


【ポイント】
・その場で数字を出さねばならないが、数字の精度はあまり問題でなく、大事なのは、「何らかのフレームワークをその場で設定し、それに沿って解答をひねりだすこと」である


【必勝法】
・何が出題されようと、「マーケットから解を導き出す」


【解説】
・例えば、ガソリンスタンドであれば、ガソリンの消費量がマーケットとなるし、殺虫スプレーであれば、殺虫スプレーを買う人/法人がマーケットとなるだろう。そこから導き出すようにすれば、どんな問題が来ようと、しっかり練習してさえすれば、一応解答は出せるようになる
・また、たまに「ケースインタビューに備えて、いろいろと基礎数値を覚えようと思うんです」みたいな人がいるが、マーケットから出そうとしていれば、基本的には日本の人口と東京の人口をしっておけば事足りる。
(基本的にはあらゆるマーケットの数量は、人口 × 購入率 × 購入単価 あたりに分解されるからだ)
・マーケット以外の軸で答えることも可能だとは思うが、その場合、特殊な基礎数値が必要になったり、つじつまが合わなくなったりしてドツボにはまることが多い。例えば、「ガソリンスタンドを1km四方にいくつあるかを推計して、日本の面積にかける」みたいな手法でやろうとすると、“日本の面積”という基礎数値が必要になるし、「日本中同じ密度なのか?」といった突っ込みも食らう。その点、マーケットを軸にすれば、「マーケットをこのように定義します」としてしまえば、かなりの突っ込みを封じられるのだ。



2)戦略問題の必勝法

【出題例】
・缶コーヒーの売上を倍にするためにはどうすれば良いか?
・品川区の税収を倍にするためにはどうすれば良いか?


【ポイント】
・その場でのクリエイティブな思いつきの切れ味を問われているようだが、そうではない。あくまでクリアに頭が整理されていて、ロジカルに戦略を提示できるか否かが問われている。
・したがって、一つ二つ良いことを思いついて発言したからといって、評価されるわけではない。また、突発的な思いつき力に頼っていると、「何も思いつかなくて撃沈」というリスクがある


【必勝法】
・何が出題されようと、「アンゾフのマトリクス」で解を出す


【解説】
・ポイントは、MECEに整理されたフレームワークに沿って検討し、解を出すこと。その点、アンゾフのマトリクスであれば、かなりの出題に対応可能だ。
 (アンゾフのマトリクスとは、田の字を書いて、4つの象限を a. 既存プロダクト×既存市場 b. 既存プロダクト × 新規市場 c. 新規プロダクト × 既存市場 d. 新規プロダクト × 新規市場 に分けるというもの)
・このマトリクスを用いて、「a象限については、○○のような施策が考えられます。b象限については・・・」とやっていけば、少なくとも、「解答に詰まって撃沈」ということはないはずだ。
・さらに、4象限を検討した後、「その結果、この施策とこの施策が有効だと思います」というように、施策の優先順位付けまでやれれば、かなり好印象だと言える。
・ちなみに、戦略問題においては、数量問題のように、「基礎数値を知らなくて詰まる」といったことはないので、使用するフレームワークは別にアンゾフでなくても良い。重要なのは、「フレームワークを用いてMECEに整理した上で議論すること」。他のフレームワークで「使える!」と思ったものがあるなら、それで対応すれば良い




・・・以上、僕が何十回か分からないケースインタビューの実戦および、数え切れないほどの模擬面接の練習で体得した必勝法でした。
他にも細かいネタはたくさんあるのだが、まあ、それは知りたい人にだけ、またの機会に。


なお、「必勝法」と書きましたが、あくまで“ケースインタビュー”という形式に慣れないがために落ちてしまうことを防ぐための方法という意味です。
これで練習したからと言って、根っこの実力が不足している場合、やはり受かりません。逆に言うと、十分な実力がある人なら、上記の方法を実践すればケースインタビューで不覚を取って落ちるということはないんではないかと思います。


コンサル業界を目指す方は参考にしてみてくださいな。