不良もの番組のヒットに思う

少し前から、不良がテーマになったドラマや映画のヒットが多い気がする。
「ごくせん」なんかが典型例だが、その他にも「クローズZERO」とか、いろいろある。


共通しているのは、「不良だが、美しい友情に目覚めて仲間を大事にして何かをやり遂げる」といった筋書き。


ま、商業的に成功する一つの型としてそういうのがあるのは良いとは思うのだが、個人的に危惧している点がある。
それは、
「不良というのは、実は良い奴が多いのだ。
家庭の事情等、やむを得ない事情でグレてしまってはいるが、実は根はすごく良い人が多いのだ。
むしろ、勉強ばっかりしてきた優等生の方が世間を知らなくて性格が悪い人が多かったりして」
みたいな見方がをする人が増えることだ。


その結果、
・不良に偏見を持つべきではない
・いや、むしろ普通の優等生より不良の方が格好良い
みたいな価値観が一般化してしまわないか、という危惧があるのだ。



ポイントは、TVや映画に出てくる不良というのは、あくまで「本当の不良ではない」ということ。
・そもそもルックスが良い俳優が演じている
・不良風に着崩してはいるけど、清潔でおしゃれな格好をしている
・不良っぽい振る舞いをしてはいるけど、品の悪い行為はしない
・喧嘩はするが、犯罪はしない(盗み程度はあるかもしれないが、生理的に嫌悪感を生じさせるレイプとかの犯罪はしない)


要は、TVとかで見ている「不良っぽい人」というのは、ジェットコースターのようなものなのだ。
スリルはあるけど、安全。
そういうものと現実の「本当の不良」と混同してしまうとえらいことになると思う。


もちろん、不良の中にも「実は良い人」という人もいるだろうし、立ち直って立派になっている人もたくさんいる。

ただし、確率論として、
不良と呼ばれる人のうち、まともな人の割合 <<<< 優等生と呼ばれる人のうち、まともな人の割合
というのは明らかだろう。


ただ、メディアによるイメージに毒されると、そういう単純なことを忘れてしまう。



一般的には、不良には近づかないべきだし、仲間に入るべきではないだろう。
そこで、「いや、うちはそういうことに一切偏見を持たない主義だ。うちの子には不良とも積極的に交流させる」みたいな親もいるかもしれないが、圧倒的に例外だろう。
人間、一緒に過ごす時間が長い人と同じ考え方、同じ行動を取るようになるものなので、不良と一緒に過ごす時間が長い人は、やはり不良になるだろう。
(先生とか、相手と違う立ち位置で関わる人は別です)


客観的に確率論で見て、不良に関わるとロクなことはない。
犯罪に巻き込まれる可能性は飛躍的に高まってしまうし、品も悪くなって、ランクの高い人が寄ってこない雰囲気を持つ人間になってしまう。


「基本はそうである」ということを十分認識した上で、不良エンターテイメントは楽しみたいものです。
ちなみに、僕が親になったとしたら、子供には不良が賞賛されている種のコンテンツは一切見せませんが。そうしないと、間違った価値基準を植えつけることになりかねないから。