非公開求人⇒言葉の使い方がうまいなあ

最近求人広告で定番になっている”非公開求人”という言葉。

これを考え出した人はなかなかに優秀なマーケッターだなあ、と思う。


これが何なのかを理解するには、まずは人材紹介会社のビジネスモデルを知る必要がある。

人材紹介会社が収入を得る方法は2つある。
1)自社の持つ媒体(雑誌、ネット、展示会など)の広告枠を売る
2)人材を企業に紹介し、紹介料を得る


で、これを人材を採用したい企業の側からすると、2パターンの方法があることになる。
1)人材紹介会社の媒体に広告を出す
2)人材紹介会社から人材の紹介を受け、紹介料を払う

で、通常企業側からすると、大々的に人数を確保したい時なら広告を出して急いで集める、ということで1)の手法を取るが、普通は2)の手法を取ることが多いのだ。

なぜかというと、2)の方は実際に紹介された人材が入社して始めて紹介料(通常年収の30%程度)を払う、というモデルなので、納得感が高いのだ。
(何人紹介されても、入社に至らなければ費用はゼロだ)

これに対して、1)の手法の場合、人材を採用できようができまいが、広告なので、出稿料が数百万円単位でかかる。(媒体によるが)


・・ということで、とりあえず人材紹介会社に採用したい人材の条件を伝えておいて、
「まあ、良い人がいたら情報ちょうだいよ」
という企業が大多数、ということになる。


これが人材紹介会社が言うところの”非公開求人”だ。

要するに、”公開求人”というのは、広告料を出している求人情報で、”非公開求人”というのは、広告は出さず、成功報酬で人材紹介会社に情報を伝えている求人情報ということだ。

それだけの違いに過ぎないのだが、”非公開”というプレミアム感をかもし出す表現を使うことで、
「表立っては募集したくないが、実はとっても条件が良い求人」
であるかのような雰囲気を出すことに成功している。


これを、
・公開求人⇒広告系求人
・非公開求人⇒成果報酬系求人
と呼んだら、イメージが全然違ってしまう。
(こっちの方が実態とあっているにしても、だ)


やっぱり、”非公開求人”って言い出した人はうまいわ。
軽く詐欺的な表現なので好きではないが、人材紹介会社って営業会社だから、そういう発想になりがちなんだろうなあ。