起業と借入れ

起業に借入れはつきものだ。


企業が借入れを行う際には、次期総理大臣候補がいくら
「再チャレンジ可能な社会に・・」
とか何とか言おうとも、現実には連帯保証人として代表取締役が個人保証しなければならないのが現状だ。
(でないと、銀行が貸してくれない)


つまり、
・企業として返済できないのであれば、社長が個人として支払わねばならない
ということだ。


一歩間違えて、大きく借入れをしたまま倒産したりすれば、一気に破産するくらいのインパクトになるだろう。



・・・ということを、ベンチャーの経営陣となって身にしみて感じる。
(僕の場合、末端の役員なので、保証人になったりはしていないが)


1年ほど前に、某セミナーで知り合った経営者と話をした時に、以下のような会話をしていた。
当時は意味が良く分からなかったが、最近は良く理解できる。


(僕)「経営者だと、経費で落とした後に税金が引かれることになるから、手元に残るお金は多くなるんですよね。うらやましいなあ」
(経)「う〜ん。それはそうなんだけど、多分”お金”に対する感覚が根本的に違うんだと思うよ。
社員でいる間は、”給料”は全て自分のお金だけど、経営者になると、自分のお金と会社のお金の区別はほとんどないんだ。
たまたま自分の手元に残った金も、いつ事業で必要になるか分からないから、そう気分良く使えるものではないんだよ」



経営者になると、金について公私の区別がつけにくくなる。
手元に入ってきた金も、いつ事業を回す資金にあてることになるか分からないからだ。
彼はいくつもの会社を経営している若い経営者で、十分に成功者と言える。
その彼がそう言うのだから、経営者のお金の感覚というのは、大きく成功してもそういうものなのだろう。


自分が目標とする人生を送るためには、
「経営者になるしかない」
と思ってやってきたが、実際にリアルな経営者像が見えてくると、改めて相当の覚悟がいるものであることが分かる。


自分に対して覚悟の程を問いかけると同時に、
「米国並に、他者資本で勝負できる世の中に早くならないものか」
と思う今日この頃でした。